楽しい投資研究所のブログ

楽しい投資研究所 1toushi.com の公式Blogです。

最も大切にしてきた情報源について(投資実験報告2019 その5)

投資先を決める際に最も重視してきたのは有価証券報告書だ。 会社の過去の実績を見る。これを評価の基礎に置く。 決算書に現れるのは過去の数値ゆえ将来予測の役に立たないという見解もあるがそれは浅い。過去から現在までの情報は全て株価に織り込まれてい…

投資家が注意を払うべきものとそうすべきでないものについて

昔のバークシャー ハサウェイ社の株主総会を映した動画がYoutubeにあった。 株主のひとりが質問に立って、今後10年間の経済見通しについて教えて欲しいという。するとバフェット氏は、 その質問は重要だが不可知 (unknowable) だ。私たちはそういうものに注…

9倍株の見つけ方(投資実験報告2019 その4)

■9倍株も生まれた テン バガーには至っていないのだが9倍株についても触れておきたい。累積リターンが+800%超の会社である。もう少しで10倍株だと考えてしまいがちだが株価の動きは予測がつかない。捕らぬ狸は皮算用しない。ただ9倍株もなかなかのもの…

【提言】独自指標の決算書上の公表は厳しく規制すべきこと

独自指標と称して会計基準に準拠しない経営指標を決算書に記載する場合はすべてに【基準外】の文言を添えることを強制すべき。・有価証券報告書 <- 金融庁。・決算短信 <- 証取。基準に従った数値と基準を無視した指標を会計の素人は区別できない。悪意の経…

悪臭を放つ決算書が存在すること

ゴーン氏が主導した際どい決算、過剰な演出による劇的なV字回復決算にいかがわしさを感じた私は、日産自動車へ投資することはなかった。当時は日本全国がゴーン氏に対する称賛の嵐で、私の感覚の方がおかしいのだろうとすら思 っていた。 今にして思えば、…

テン バガー:10倍になる株の見つけ方(投資実験報告2019 その3)

■初の10倍株 実験ファンドの保有するある銘柄の値上がり益と配当による累積リターンが+900%を超えた。10倍株と呼んでいいだろう。実験ファンド初のテン バガー(ten-bagger)の誕生である。 その会社の名は船井総研ホールディングス。 取得したのは2004年3…

投資実験報告2019 その2:局地的バブルとテン バガー

■実験ファンドの投資先すべて: 実験ファンドが保有する銘柄を一覧にまとめた。 せっかくなので銘柄別に保有期間と利回り(年率複利)も計算してみた。次のとおりである。 実験ファンド保有銘柄一覧(2019年末) ■売却処分: 年初までに製薬会社の株をすべて…

投資実験結果報告・2019年末アップデート

■目的:決算情報を基に投資の意思決定を行うことは有利な結果をもたらすのか?という問いに対する答えを得る。 ■利用した情報:主として有価証券報告書、決算短信。その他の公開情報(新聞、雑誌記事など)も適宜参照した。 ■実験期間:18年間(2002年初~20…

カルロス・ゴーン氏の国外逃亡から学べること

決算数値には経営者の人格が反映されると考えている。 そして会社の決算から本当に読み解くべきものとは、利益率がどうこう、財務比率がどうこうなどではなくその向こうにある何かだとも考えている。その何かとは経営者の人物である。 バフェット氏の言葉を…

生身の投資家が実は有利な時代

英エコノミストの記事にこんなのがあった。今や株式市場の取引は、アルゴリズムによるものやAIによるものが大きな割合を占めるようになった。その一方で、人間がマネジするファンドは指数連動型のパッシブファンドがほとんどという状況である。果たしてこの…

情報面での不平等について

情報開示を行うことが有限責任の事業体という存在を認めることに不可欠な条件なのだが、その情報開示を必要とする人すべてが開示された情報を読むというものでもないし、読まなくても良い。 読んだ方がもちろん良いに決まっているのだが、読める人にとってみ…

楽しい投資研究所TV

楽しい投資研究所TV はじめました。 www.youtube.com iPad Pro を使い始めた勢いでチャンネルを開設しました。勢いです。 これにより肩書は 投資家・公認会計士・ユーチューバー となります。 突然我に返り急遽撤退するリスクがあります点、あらかじめご了承…

楽しい投資Podcast 配信のお知らせ「いつ売るべきか?」投資ラジオと旅ラジオ

楽しい投資研究よりラジオを公開しましたのでお知らせします。楽しい投資Podcastです。 ■【最新】投資ラジオ「いつ売るべきか?あるいは即売却処分すべき会社について」 → 持ち株を売るべきときとはいつなのか?ひとつの答えとして、即時売却処分すべき会社…

会計基準の改悪と純利益情報の劣化について

米国会計基準を適用するトヨタの第3四半期決算は、株式評価損を取り込んで純利益3割減となった。本業は好調で営業利益は前期比9%増である。今期から米国会計基準が保有株の時価変動を純損益に加減するよう強制するようになったことが影響している。トレ…

ラジオ公開のお知らせ「会計を熟知した名演出家だった経営者カルロス ゴーン氏」及び「日産の監査人は何をやっていたのか」

日産のカルロス ゴーン(元)会長逮捕に関連して、「会計を熟知した名演出家だった経営者カルロス ゴーン氏」及び「日産の監査人は何をやっていたのか」というラジオを公開しました。 楽しい投資Podcastです。 http://1tpc.seesaa.net/article/462906926.html

AI ザ・ギャンブラー

AIは大量のデータを扱う。人には認識できないパターンを検知することも可能だと。但し、 大きな期待が寄せられているが、高収益をもたらす実績はまだ上げていない。(中略)直近の予測には使えるが、5~10年後といった長期的な成長ストーリーを思い描くこと…

投資家とギャンブラーのWin-Winの関係のこと

同じ資産であっても誰が保有するかによってその価値は異なる。 長期間投資し続けることが可能でその意思を持つ者の目から見れば、数十年先に予想される利益を現在価値に反映させてその資産の持つ価値を評価できる。 投資可能な期間が短く、数ヵ月間、数週間…

のれんの膨張と利益の歪みについて

近年、のれん残高が身の丈に比して巨額に過ぎるように見受けられる会社が増えた。自己資本を超える規模ののれんを抱える会社が珍しくない状況になっている。 のれんの規則償却が禁止されているIFRS(国際財務報告基準)の影響が大きい。 IFRSは米国基準に沿…

バークシャー ハサウェイ社の株主総会のこと

先日、バークシャー ハサウェイ社の株主総会をリアルタイムで視聴した。Yahoo financeが専用サイトを用意してくれているのだ。凄い時代である。さて、総会の様子はさながらコンサートか何かのようだった。バークシャーの株主総会はキャピタリストのためのウ…

アップルの自社株買いについて

アップルがIR情報として、自社株買い10.9兆円相当の計画を発表した。「新たに1,000億ドルの自社株買いについて取締役会承認が得られた旨報告できることを幸せに思います」(2018.5.2)と公表したわけだが、その額で何株買い戻す計画なのかがよくわからない。…

ビットコインはバブルか

【結論からいえば】 ビットコインをはじめとした仮想通貨への「投資」はあり得ない。ビットコイン投機あるいはビットコインギャンブルと呼ぶのが正しい。 ビットコインはバブルのなかにある。遠からず弾ける。どうせ弾けるのなら今日にでも弾けてもらった方…

投資に勝つ人・負けて退場する人の決定的な違いについて

株価指数連動型投資信託に投資するとしたらどの指数(インデックス)を選ぶべきだったのか?2001年末からの16年間を考えると、日経平均は複利ベースで年率+6.2%, TOPIXは年率+4.9%のリターンをもたらした。東証一部上場約三千社よりも日経平均225社の方が…

ビットコイン考:理解できていないものはすべて危険

誰もが儲けられるといい、騒がれているものがある。たとえばビットコインである。 儲かるかどうかは人次第である。ビットコインの本質について理解できているのならば儲けられる可能性は高い。というか損する可能性を抑えられる。本質をつかんでいる人であれ…

インデックス ファンドへの投資は極力避けるべきこと

結論:インデックス ファンドへの投資は極力避けるべきこと(条件付きで) 理由は次の通り。 インデックス ファンドの投資先は玉石混淆のため、高いリターンは期待できない。 16年間投資し続けてきたTOPIX連動型ファンドの運用成果は+101.4%。二倍超となっ…

伯楽の話 ~ 伯楽の故事に学ぶ投資の着眼点 ~

・韓非子に伯楽の記事がある。春秋戦国時代の古代中国・秦の穆公に仕えた人物である。馬の目利き、育成にきわめて優れた人物であったと伝えられる。伯楽とは通称であり、姓は孫、名は陽といった。現代でも優れた人材を見出し育て上手な人物を名伯楽と呼んだ…

甥っ子への公開書簡

(老後の経済問題を消す方法) お金のことは早めに考えておいた方が良い。時間さえかければ大抵の問題は解決できるものだから。 だから投資のことは早めに考えておいた方が良い。そして投資を始めるのは早ければ早いほど良い。 お年玉の一〇分の一、お小遣い…

四半期決算の存在意義について

四半期決算の存在意義とは何だろう。 日本の四半期決算の歴史は短い。法制化という意味では2008年4月1日以降開始事業年度から上場会社には四半期報告書の提出が義務付けられた。それまでは本決算と中間決算の年二回で済んだ。 四半期決算は欧米のスタイルを…

四半期決算の存在意義と東芝の信用について

東芝の経営者は四半期決算を舐めた。 第3四半期レビューで結論の不表明とされていながら、他の監査法人に監査をさせて、年度決算で適正意見を得られればそれでいいと。そんな姿勢で監査人の交代をほのめかした。 四半期決算は簡易決算であるからそれほど重…

投資実験レポート その9 - 投資のタイミングについて

投資はタイミングがすべてである。 短期売買の話ではなく、長期投資においても同じことがいえる。タイミングがすべてだ。 優れた会社であっても、その価値に比して高すぎる価格で買えば失敗する(高い運用利回りは得られない)。 ある会社に惚れ込んだ人がい…

投資実験レポート その8 - 高いリターンをもたらしてくれた会社の共通項

高い運用利回りを与えてくれた投資先はどんな会社なのか。 7年以上投資している13社のうち、複利利回り12%以上は3社が該当する(下記のとおり)。 ※7年未満投資先4社の内、12%以上の複利利回りを上げている会社は2社(小数点以下四捨五入すれば3社)…