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四半期決算の存在意義について

  • 四半期決算の存在意義とは何だろう。
  • 日本の四半期決算の歴史は短い。法制化という意味では2008年4月1日以降開始事業年度から上場会社には四半期報告書の提出が義務付けられた。それまでは本決算と中間決算の年二回で済んだ。
  • 四半期決算は欧米のスタイルを直輸入したものでもある。
  • 投資家保護に資する、という大義名分のもとの導入でもあったが、そもそも投資家たちは四半期決算を望んでいるのか。
  • 長期投資を基本とするのであれば、年次決算くらいは興味深く眺めるだろうけれど、四半期決算をいちいち気にはすまい。四半期ごとにわあわあ騒ぐようでは長期間投資し続けることなどできたものではない。業績や財政状態の開示は年一回で十分である。
  • しかし現実には、3か月ごとの決算でわあわあ騒ぐ人々も大勢いる。短期売買を基本姿勢とする市場参加者たちだ(メディア関係者もそうだ)。
  • 彼らを悪くいうつもりはない。株式の短期売買はリスクが高すぎるのでお勧めできたものではないのだが、短期売買を繰り返す人々がいるからこそ市場の流動性は高まる。いつでも好きな時に株式を売ったり買ったりできるのは、市場の流動性を高めてくれる人々がいてくれるからだ。
  • そして彼らは長期投資家と同じく、証券市場に資金を供給してくれる大切な存在でもある。
  • 射幸心をあおり、短期売買を好む人々をも市場取引に参加させるシステム、いいかえれば、ギャンブル好きな人々の嗜好を満足させつつ(結果を満足させるとは限らないが)、彼らのお金をも吸収して事業投資に振り向けさせるのも株式市場の一面である。
  • 四半期という短期間で企業情報を開示させることで、短期売買を旨とする人々を刺激する。彼らは短期的な思惑に基づいてでも売買を行う。買って売る、売って買う。ならして考えれば、キャッシュは市場の中を漂い続ける。売買が増えれば結果的に市場にとどまる資金量は増加する。市場を介して資金を調達したい人々にとってはありがたい限りである。
  • 投資家保護という建前は便利だが、実際のところはちがうというのもよくある話なのだ。四半期決算は投資家のためのものとは限らない。
  • そういう意味では、四半期決算なぞその程度のものなのだという認識を持つのは悪いことではない。