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カルロス・ゴーン氏の国外逃亡から学べること

決算数値には経営者の人格が反映されると考えている。

そして会社の決算から本当に読み解くべきものとは、利益率がどうこう、財務比率がどうこうなどではなくその向こうにある何かだとも考えている。その何かとは経営者の人物である。

バフェット氏の言葉を借りれば、その経営者は株主と正面から向き合っているかどうかということだ。

経営者のなかには不届きな者もいて、株主の財産を食い物にしようとする輩もいる。

カルロス・ゴーン氏が日本にやってきて日産の経営再建に着手したのはかなり昔のことだが、私にとっては記憶に新しい。いわゆる日産リバイバルプランである。

当時は日本のメディアがこぞってゴーン氏を褒めそやしていたが、彼のトップに着任してからの日産の決算書(有価証券報告書)を見るに、特にその業績急回復の根拠となる数字、損益計算書を見るに、危うさを感じた。その危うさは、彼の過剰な演出から来ていた。

当時、彼が主導した利益のV字回復について、その会計処理のきわどさについて、指摘するメディアは皆無といっていい状況であった。

一部、会計の専門家や日経金融新聞の解説の中で取り上げる人もいた。いわゆるビッグバスである。何でもかんでも損失処理し、翌期はその反動で大幅増益と見せる。ところがそういった手法への批判的な指摘は、世間からは黙殺されているような状況であった。

今回のゴーン氏の無断出国は、巨額横領疑惑に対して自己保身の釈明のみでの国外逃亡とみなすほかない。

その人物像は、彼が着任早々に決算書で見せた過剰演出のなかにすでに見てとれる。己を実態以上に飾り立てようとする行為は誠実性からほど遠い。

これは私たち投資家にとって、決算書上の数字から読み解くべきものとは何なのかということを考えさせられる出来事であろう。すなわち誠実性に欠けた経営者に投資すべき理由は一切ないということだ。

今回のゴーン氏の国外逃亡劇は、このことを如実に示してくれているある意味、理想的なモデルケースといえる。