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悪臭を放つ決算書が存在すること

ゴーン氏が主導した際どい決算、過剰な演出による劇的なV字回復決算にいかがわしさを感じた私は、日産自動車へ投資することはなかった。当時は日本全国がゴーン氏に対する称賛の嵐で、私の感覚の方がおかしいのだろうとすら思 っていた。

今にして思えば、当時の日産の「V字回復」決算に感じた違和感は 、経営者の心根の卑しさを反映したものだったと思える。こういった決算に対する皮膚感覚とでもいうべきものが私をこれまで何度か救ってくれたようにも思える。会計監査に明け暮れ疲弊した日々はどうやら無駄ではなかったようだ。

ところで今、ゴーンの決算以上にいかがわしい決算書が日本の証券市場を侵食しつつあることを書いておきたい。

私が公認会計士として会計の世界に入って20数年になるが、ここまで悪意を感じさせる決算は見たことがないという決算書を、2019年は目にする機会があった。
悪臭を放つ決算書があるとしたらこれではないかと思わせられるものだった。PDFファイルが臭うのだ。経営者の心根の卑しさを感じさせるという点では、ゴーンがかわいく見えるレベルである。

このような決算発表を行って恥じない会社経営者も存在するのだという事実を、驚きをもって受け止めた。しかし普通の投資家がこのような経営者に近づくことはお勧めしない。 それどころか絶対回避警戒警報を発したい。

会社名をここに書くことは控える。ただ、近づくべきでない会社・経営者を避けるためのキーワードを書いておく。それは「独自指標」である。会計基準を完全に無視した、経営者が自画自賛するためだけの経営指標である。これをもって己が功績と胸を張るような輩が率いる会社に関わってはならない。脱兎の如く逃げるに如かずである。