楽しい投資研究所のブログ

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米大統領選の結果を予測する

米大統領選の結果は日本株にも多大な影響を与えるに決まっている。僕は何の影響力も持っていないが、その結果は実験ファンドの投資パフォーマンスにも大きな影響を及ぼす(つまり僕自身の経済状態にも)。注目しないわけにはいかない。

CNNの調査では、バイデン候補が16ポイント リードしている。ウォールストリート ジャーナル、ニューヨーク タイムズ、フィナンシャル タイムズ、日経新聞、いずれを読んでもトランプ氏はどうしようもないほどの劣勢に立たされていることになっている。

ところで、2016年の米大統領選でトランプ勝利を的中させた世論調査会社、ラスムセン・レポート社の記事にこんなものがあった。

www.rasmussenreports.com

世論調査の数字の外、それでもバイデン候補は圧倒的勝利を収められるのか?といった趣旨の記事である。

ちなみに、当のラスムセンの調査でも支持率はバイデン氏が5ポイント、トランプ氏を上回っている。

しかし、支持者集会の規模、そこで見られる支持者の熱気、さらに候補者のエネルギッシュな様子とスタミナ、いずれもトランプ氏がバイデン氏を圧倒している(トランプ氏が武漢肺炎ウイルス感染で入院した病院の外には、バイデン氏の集会1ヶ月分の人数が集まったという)。

バイデン氏の物忘れや言い間違いが衝撃的であったことは有名な話だが、それに加えて、次の指摘は興味深いなと思った。

予備選で75%以上の支持を得た現職大統領が再選されなかった例はない。トランプは共和党の予備選で94%の支持を得た。この数字は史上4番目の高さであり、アイゼンハウアー、ニクソンクリントンオバマをも上回る。

アメリカの大統領選の年に、パンデミック、不況、市民暴動が同時に起きた例は3度ある。これらのいずれの年も現職の大統領が勝った。

2004年以降に関していえば、Googleで検索された数の多い候補者が常に勝利している。トランプの検索回数はバイデンの約3倍である。

1820年以降、現職大統領が再選を賭けた大統領選の年にパンデミックが起きた例は11ある。そのいずれの年も現職の大統領が勝った。

上記の指摘は、David Chapman氏(@davidchapman141)のツイートによる。

第1回討論会の様子も通して観たが、トランプ氏が2桁の差をつけられてバイデン候補の後塵を拝しているとはどう考えても不自然なのだ。

大手メディアは実はまったく信用ならないのではないか。そんな疑念は強まる一方である。

【結論として】

僕はトランプが勝つのではないかと見ている。ゆえにリスク オンの姿勢に変わりはない。

メディアを信用しないこと

僕が好んで読んでいたメディアの多くが、偏向報道を続ける信頼に値しないフェイクニュースメーカーであったようだ。

米大統領選の報道を見るに、現職大統領への偏った批判、世論誘導の意図が方々に見えて驚いている(単に僕の誤解であればそれが一番良いのだけれど)。

ウォールストリートジャーナル、ニューヨークタイムズはとても怪しくて、たぶん英エコノミストもくさい。

こういうメディアを熱心に読み続けていたわけだが、読めば読むほど誤った情報に汚染され、偏った見方に誘導され、正しい状況判断から遠ざかってしまうという冗談のような笑えない状況に陥っていたような気がする。

情報源を見誤れば、エネルギーを注ぐほど愚かになってしまうのだ。怖い話である。

有力メディアであろうが信頼性とはまったく関係がないのだ。こういうことを身を以て知ることができたと前向きにとらえるしかない。

考えてみれば完全中立なメディアなど存在するわけがないし、偏りたくなければ偏ったメディア利用を止める以外にない。複数のメディアを幅広く読むのが次善の策であって、一次情報に当たって他人のいうことは基本的に信用しない、というのがどうやら一番である。

 

トランプ大統領のこと

2016年の米大統領選、トランプ氏勝利の折には、とんでもない男が米国大統領になった、米国の繁栄はピークを過ぎた、などとまるで見当違いなことを書いたりして申し訳ありませんでした。

トランプ大統領は、
①凶暴な米国の中にあってこれを率いて戦争をさせなかった。
②大幅な減税を行なった。
FRBに利上げをさせなかった。

以上の事柄だけを見ても極めて良質で優れた大統領であると思う。僕はファンになった。

自国のメディアから袋叩きにあっても一歩も引かず、己の信ずる道を邁進する強さたるや、想像を絶する。あえて古代中国の故事を引くが、これは孟子のいう 、千万人といえどもわれ往かむを地でゆく人物であると思う。尊敬する。

トランプ氏の武漢コロナウイルス感染の報を受けて株価は総じて下げた。市場はトランプ大統領の再選を待っている。

天意は民意を媒介として表現されるというのが正しければ、米国各地で開催されるトランプ支持者集会の熱狂ぶりを見るに、天意はトランプに在りという以外にない。

 

悪臭を放つ決算書 〜規制しなければ決算情報は腐るという話〜

会計基準を無視した経営指標

ある製薬会社が決算発表に用いる「Core営業利益」というものがある。いわゆる会計基準外指標(Non-GAAP measures)である。

その会社の有価証券報告書決算短信に「Core営業利益」なるものの説明が書いてある。

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*某製薬会社の2020年3月期・有価証券報告書より抜粋(以下同じ)。

 

「本業に起因しない(ノン・コア)事象による影響を調整」とあるが、償却費も減損損失金利費用も買収関連費用も手当たり次第に除外して計算されたもの、要するに会計基準を無視して計算された指標ということである。

これをもって経営者は、実質的な利益とのたまっている様子。

 

・誤解する一般投資家

有価証券報告書に載っているので会計に詳しくない一般投資家は、監査法人が監査しているのだから信用できるんでしょ?と誤解する。

ところで、「Core営業利益」などという概念は会計基準にはない。

この会社は、国際会計基準IFRS)を適用しているのだが、有価証券報告書には「国際会計基準に準拠したものではありません」と明記してあるので、こういうところまで読み込めていない一般投資家が誤解しても、誤解する方が悪いというつくりである。

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会計基準は無視していますと。

 

・大幅減益の一方で社長へは巨額の役員報酬

この会社の経営者は、実質的成長を重視するのだという。損益計算書にあらわれる会計数値は、実質とは異なるのだと言外に主張しているようにも読める。

この会社、直近の決算では、会計基準に即した純利益は大幅減益で、税前利益はマイナス(損失)に陥った。

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*株主が気の毒。

 

その一方で、社長に対する報酬総額は20億円超である。

価値を生み出す経営者であれば相応の報酬を受け取るのは当然と思っているが、この会社の報酬委員会はなにをもってこの社長の貢献と評価したのかわからない。単に気前が良いのか。

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*1億円以上の役員報酬は個人別に開示される。

 

・何をもって実質的成長というのか 

業績評価には、「実質的な成長」概念なるものを用いるのだそうだ。

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*大幅減益でも業績評価は別の話らしい。

 

・どんなに高値づかみの買収をしようがこの会社の「実質」は成長すると主張

社長を含む役員の業績評価も、この「実質的な成長」とやらで行われているように読める。

この会社の「実質的な成長」を支えているのが前述の、会計基準を無視して独自につくり上げた概念「Core営業利益」である。

要するに、買収を行いさえすれば、どんなにばかげた高値づかみの買収をやろうとも「成長」するのが「Core営業利益」である。償却費も減損損失金利費用も買収に絡む諸費用もすべて除外して計算されるのだから。

 

・クローバック条項導入とはいうものの

ところでこの会社の経営者、身の丈に合わぬ巨額の買収を懸念する株主に押されてクローバック条項 (*1) を導入したと聞いた。

しかし、有価証券報告書を読むに、「重大な修正再表示」(会計処理の誤り)や「重大な不正行為」に限定しているらしき点、気になる。仮に超巨額の買収が失敗に終わって、巨額の減損損失(=買収の失敗)という結果になったとしても、修正再表示や不正行為に該当するのでなければ報酬を返還する義務ははないという風にも読める。

(*1) クローバック条項:経営判断の誤りなどによって会社に損失を与えた場合、経営者への報酬を取り戻す趣旨の取り決め

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*超巨額買収が失敗(巨額の減損損失)に終わった場合はどうするのか?会計処理は誤っていない、不正行為もないというのなら、経営者はその報酬返還の義務を負わないという理解でOK?

 

ちなみにこの会社の経営者は、株主からクローバック条項の導入を強く求められた際、そんなものを導入したら経営陣が過度に保守的になってしまってむしろ害になると反論していた。 何をいっているのかわからない、というのが率直な感想である。

 

・あれもこれも「ノン・コア」だから

買収の結果(最悪、巨額の減損損失)にも、巨額買収の結果生じた巨額の償却費も、巨額の買収関連費用も、買収資金調達のために生じた巨額の借入費用も、それらは「ノン・コア」だから(どういう理屈か)と経営者の責任ではないと読める(こう読む以外にどう読めば良いのか、読み方があるのなら教えていただきたい)。

 

・まとめ

私自身、これまで数百の決算書を見てきたが、悪臭のただよう決算書があるということをこの歳になって初めて知った。

批判めいたことは書きたくないのだが、こういう有害な情報開示を規制しなければという気運の高まる兆しがまったくないので、Webの片隅にだが書いておく。

 

・追記(金融庁への提言)

こういうNon-GAAP measures(会計基準を無視して公表する独自の経営指標)について、米国では規制の動きがある。一般投資家を惑わせかねないのだから当然である。

日本では金融庁が動いてくれるだろうと期待しているのだが、その動きはまだない。日本の資本市場が腐臭にまみれぬように、早期の規制導入を強く望むものである。

個人的には、会計基準から外れた指標を有価証券報告書に(もちろん決算短信にも)記載する場合には、そのすべてに【基準外】という文言を付すことを強制するくらいでちょうど良いと思っている。

 

バークシャー・ハサウェイの巨額損失とその真実

先般5月2日、アメリカはネブラスカ州オマハにて、バークシャー・ハサウェイ社の年次株主総会が開かれました。

今回は一般株主は召集されないかたちでの総会開催となりました。それも新型コロナウイルスいわゆる武漢ウイルスのせいです。

Yahoo finance経由でリアルタイムで観ましたが、ウォーレン・バフェット氏がひとり話す場面の長い異例の総会となりました。大勢の株主を前にして語るバフェット氏とは異なり、やや寂しげに見えたのはこのご時世でもありやむを得ないところでしょう。昨年の総会では年齢をまったく感じさせないエネルギッシュなバフェット氏の姿が、今年はややはかなげに見えて、複雑な気持ちになりました。

さて、総会と同じ日にバークシャー・ハサウェイの第1四半期決算が発表されました。その損益は▲497億ドルの純損失という凄まじい大赤字となりました。円に換算すればおよそ5兆円の損失です。これをとらえてかつては投資の神様だったが今はこの体たらくといった論調の記事をいくつか目にしました。ただし、これはバークシャー社の実態を表したものとは到底いい難いものなのです。これが今回の主題です。

バークシャー社のHPから決算書を手に入れて読んでみれば、この損益がいかにしてあらわれたものなのか、その内情が分かります。

問題の連結損益計算書を見てみれば、最終的な純損益▲497億ドルの要因は、主に「投資損失」▲702億ドルであることがわかります。

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バークシャー・ハサウェイ社の10-Qレポート(四半期報告書)から抜粋。連結損益計算書(一部)。2020年度の第1四半期。

さらに突っ込んで注記を見てみれば、資本性金融商品(Equity securities, 株式と考えて良いでしょう)の時価変動額が▲684億ドルだと見て取れます。※10-Qレポートの11ページ、投資損益の内訳("Note 6. Investment gains/losses)に記載。

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*同10-Qレポートの注記から抜粋。「投資損益の内訳」。

保有し続けている株式の時価がこの3ヶ月間でこれだけ下がったという情報です。無意味とはいいませんが、それだけのことです。はたしてそれが長期間バークシャーに投資し続けようと考えている株主にとってどんな意味があるのかという話です。

保有株式の時価変動をすべて損益に取り込むという処理は、つい最近、2018年度から始まったものです。

仮にこれを除外すれば、バークシャーの純損益は44億ドルのプラスとなります(税効果を考慮して試算)。円に換算すれば4,700億円程度の純利益です。悪くありません。以前の会計基準に従った場合はこういう結果になります。

ところで前年度(2019年)の通期決算は、最終損益が+814億ドル(8兆円強)と巨額の純利益でした。10-Kレポート、日本でいう有価証券報告書に相当する決算報告文書を眺めてみれば、そのうち+695億ドルが株式の時価変動分であることがわかります(税効果を考えれば純損益に与える影響は550億ドル程度です)。

前期の純利益もその大部分が、保有する株式の時価変動分から成っているのです。

 

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バークシャー ・ハサウェイ2019年度の10-Kレポートから抜粋。日本の有価証券報告書に当たるもの。連結損益計算書の一部。

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*同10-Kレポート注記より抜粋。「投資損益」の内訳。

つまり、純損益の金額をそのまま持ってきて、これがバークシャー・ハサウェイという企業グループの、その事業活動の結果として報告すべきものなのか?という話です。

これには疑問を覚えないわけにはいきません。実際、会長のバフェット氏も副会長のマンガー氏もこのような処理を求める会計基準を批判しています。このような業績報告を強いる会計基準には賛成することができないと株主への手紙の中で再三語ってもいます。

このルールは、前述のとおり2018年度から適用されるようになりました。保有する株式の公正価値変動分を(そのほとんどが株価変動によるものでしょう)純損益に含めるよう強制されるのです。会計基準の改正というよりも改悪といえます。

従来、このような保有株式の時価変動分は、損益計算書の枠外で決算に反映されていました。ちなみに日本の会計基準は現在も、従前の米国基準と同様に、株式の時価変動については純損益に影響を与えない処理を正しいものとして扱っています。数年前までは米国もそうだったのですが、これが今、おかしなことになっています。

こういうノイズを除外しなければ、企業の実態を理解したいと考える株主や投資家にとっては意味をなさないだろうと考えます。実際、私の場合、バークシャーへの投資を考える際には、この保有株式の時価変動による影響額をすべて除外して考え、その上で判断を下しています。

決算数値というものは一見、絶対的なものととらえられがちかもしれませんが、存外あやふやなものであり、う呑みにすれば痛い目を見る場合がままあるということです。バフェット氏の言葉を借りれば、純利益とは経営者による意見のひとつでしかなく、会社を理解するための出発点に過ぎないのだということです。この点、変わりはありません。

 

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※今回の記事はラジオ(楽しい投資Podcast)でも取り上げています。併せてお聴きいただけますと嬉しいなと思います。下のリンク先にてどうぞ!

http://1tpc.seesaa.net/article/475041673.html

 

武漢ウイルス(新型コロナウィルス)と複利の話

ラジオを公開しました。楽しい投資Podcastです。

武漢ウイルス(新型コロナウィルス)と複利の話をお届けします。

  • 日本における感染者数の増加を複利で考えてみます。
  • ウイルスによる感染症の真の恐ろしさとは、人の直感を大幅に上回るスピードで、人の生活・命を脅かす点にあります。
  • たったひとりの軽率な行動が国を傾ける結果につながりかねません。
  • 傾国の美女というのならまあ...と男として思わないでもないですが、ただの粗忽者に国を傾けられてはたまったものではありません。極刑に処せ、と思います。

こちらでお聴きいただけます。

1tpc.seesaa.net

 

どこで区切るか - もっとも重要な意思決定事項

投資期間をどのように設定するか。これが投資を考える上で決定的に重要である。

もちろん、どのように設定するかは各人の自由である。1年後に区切る人もいれば10年後に期限を設ける人もいる。期限を定めない永久投資という設定も可能であり場合によってはもっとも賢明な条件設定となる場合もある。

逆に1ヵ月間とか1週間、1日だけというような極めて短い投資期間を設ける人たちもいる。トレーダーと呼ばれる人々でありそもそもそれは投資と呼べるのかという話にもなるが。とにかく投資家個々人の自由である。

1年後に今の経済状況がどうなっているかは想像がつかない。予測が困難である。もしかしたら中国武漢コロナウイルスの惨状が沈静化されていて、経済活動も従前に近い形にまで回復しているかもしれないし、いっそう深刻化していて企業倒産が相次いで大変な状況になっている可能性もある。1年後を区切っている人にとってみればそれをどうとらえるかが問題であり、数週間、数ヶ月間という期間設定の人にとってみればおそらく現在の経済状況からの大幅な改善が見込めることはないのでいっそう状況が悪化している可能性の方が高いとも考えられる。そういう人にとってみれば今保有している株式の価格が上昇するよりも下落する可能性の方がはるかに高い、そう考えれば今もっとも合理的な意思決定は持ち株の売却処分ということになる。

10年後や20年後あるいはそれ以上の投資期間を定める投資家にとってみればどうだろう。今の中国ウイルスが20年後も猛威をふるい続けていて人類を苦しめ続けていると予測するのでなければ、今の状況とはまったく異なった世界となっている可能性の方が高い。賢明に対処できていたならば経済活動も正常な状況に戻っていることだって十分にあり得る話であるし、むしろその可能性の方が高い。歴史的に見てもそうである。ヒトは多くの困難に直面していながらそれを克服してきた。数日間で対処することはできなくとも数ヶ月間、数年間をかけて問題には上手に対処してきたのがヒトという種族である。

現在の状況を見るに、数日後や数週間後に結果を求める人にとっては、売りが合理的な判断であり10年後20年後の投資期限を定める投資家にとっては、もしかしたら今の株価は魅力的に映るかもしれない。そういう人にとってみれば、もしかしたら買いが合理的な意思決定になるかもしれない。両者の間で売買の成立する状況が生まれる。市場取引が成立するのは立ち位置の異なる投資家たち・市場参加者たちが同時に存在するからである。