熟読すべからざるもの
(情報との付き合い方について)
- 新聞を熟読してはいけない。時間の方が価値高い。
- 今何が起こっているのか、その事実のみを把握すればよい。見出しだけで十分。意見、社説は不要。休むに似たり。
- 新聞をまともに読めば三時間かかる。一日の1/8の時間(=命)を代償として差し出すことになる。そんな価値は新聞にはない。
- 週刊誌も基本的に同じこと。新聞よりは吟味された内容の記事が載っているが、それも熟読するほどのことではない。事実の把握、素材を頭に入れておけばよい。
- ネット上の記事は99.9%が害毒。見ないが最善。
投資実験レポート その4 - 投資先のROEとリターンの関係
ROEと運用実績(複利利回り)とは相関関係にあるのか
※7年以上投資し続けている全13銘柄(下表)の場合
- 実験ファンドの投資先の自己資本利益率(ROE)実績値(直近10年間の平均値)と、それぞれの運用実績(複利利回り)とを並べてみた。高い運用利回りをもたらしてくれた会社は、例外なくROEの水準が高い。
- 通常、ROEの高い会社に注目して投資しているわけだが、投資した後、ROEが低落することも珍しい話ではない。高いROEを実現し続けたという実績は高く評価されて当然だろう。
- 一方、ROEがそこそこ高い水準にあるのに、運用成果が伴っていない銘柄も少なからずある。原因として考えられるのは・・・原因①:株価が高い時期に買ってしまった(取得時期を見誤った)。原因②:会社への悪評などがあり、市場評価が低い。原因③:投資支出が多く、FCFを残せていない。
- ROEが高いことを以て有望銘柄と結論付けるのは拙速である。多面的に企業を評価することが必須である。
- この会社は良い会社・優れた会社だという評判を、しばしば耳にするような会社(※当てにはならないのだが)は、市場評価も高く、ROE実績を上回る運用利回りをもたらしてくれたように見える。
投資実験レポート その3 - 実験ファンドの取引全履歴
- 投資実験のため、私的ファンドを15年間運用し続けて来た。これまでに行った取引はシンプルなものであった。
- サマリー情報となるが、すべての投資行動と結果をここに記しておく。実験ファンドが行った取引の内容は次のとおり。
(a) 2016年12月末時点で保有を継続しているもの
*1: 投資開始日より当年度末までの年数。
*2: 含み益+受取配当(配当は税引き後)の取得原価に対する割合。
*3: 概算値。投資実行日より起算。
(b) すでに売却したもの
- 以上ですべてある。
投資実験レポート その2 - 継続投資とリターンの関係
(継続投資とリターンの関係についての考察)
投資期間7年以上の場合:
- 実験ファンドにおいて、7年以上投資し続けている会社は13社ある。
- このうち累積リターン(値上り益+配当。配当は税引き後)が+100%を超えているのは5社(38%)。うち2社(15%)が+360%超である。
- 累積リターンが+90%超という基準で数えれば7社(54%)と半数以上を占める(下表)。
<累積リターン率が+90%超のものを抽出した表>
投資期間10年以上で見てみれば:
- 実験ファンドにおいて10年以上投資し続けている会社は7社。
- このうち累積リターンが+100%を超えているのは3社(43%)。うち2社が+360%超。
- +90%超という基準で数えれば4社(57%)とやはり半数以上を占める。なお、損失となっている投資先はゼロである。
2016年度 投資実験結果の暫定報告 その1
- 決算書を読み込んで投資先を選別、長期投資に徹したらどうなるか?市場全体を長期的に上回る投資成果が得られるのではないか?そんな仮説の検証のために始めた投資実験、早いもので丸15年が経過した。実際にやってみないとわからないことが目白押しの15年であった。
- 相変わらず、個人資産の大半を突っ込み体を張っての実験である。
- これまでの実績をグラフにまとめるとこうである(基準価額は次のように推移した)。
- 当年度の具体的な数値は下記の通り。基準価額は過去最高値をマークした。
- ベンチマークとしているのはTOPIXと日経平均である。TOPIX連動型および日経平均連動型の投資信託に投資した場合と比較している。
- 2016年度の運用成績は +12.86%。日経平均の+1.94%、TOPIXの△0.05%をいずれも10ポイント以上、上回る結果となった。
*2015年度は実験レポートを発行しなかったため、参考情報として前年度の数値を併記。
- 実験ファンドと日経平均連動型、TOPIX連動型投資信託がそれぞれ上げた成果を、複利利回り(年率)で表現してみると、次のようになる。
- 名目値は単純に計算したもの。実質値はインフレ率を調整したものである。なお、インフレ率には消費者物価指数(総合)を用いた。USドル換算値は、インフレ調整後の実質値をヒストリカル・レートでドル換算して求めた値である。
- 名目値で測った複利利回り(年率)は実験ファンドが +6.87%、日経平均が+5.43%、TOPIXが+3.98%となった。
- 消費者物価指数は15年前に比べて2.2%上昇している。複利で考えれば年率0.14%のペースでのインフレ進行である。
- ほんの数%の利回りの差が結果に大きな差をつくるのだ。ちょっとこわいくらいである。複利がもたらす結果は人の直感を上回る。
- 2016年度はTOPIXにも日経平均にも、二ケタの差をつけて終えることができた。そこそこ良い結果が出せたと思う。
- 重点投資先の市場価格の上昇が大きかった。
バブル警戒警報 ~ バブルとの上手な付き合い方 ~
市場が浮かれ気味である。トランプ相場といわれるが、その根拠はどうだろう。次期大統領の発言内容は重大事だが、期待先行の感が強い。
局地的バブル
私自身(実験ファンド)が保有している銘柄の株価と、それぞれの会社の1株当たり価値試算額とを比べて見ているのだが、複数の会社が過大評価の状態となっている。価値評価は保守的に行っているのだが、それを割り引いても乖離幅が大きい。局地的なバブルが生じていると考えてよさそうだ。警戒すべき状況といえる。こういう事は前にもあった。その後、株価は唐突に下落した。
難しいのは売り時である。本当に良い会社であれば、長期にわたって価値を生み出し続けてくれるので、短期的に過大評価されているからといって、それを理由に売却してしまうことが、結果として利益を得る機会を手放すことになりかねない。
過去、売り急いでしまい、結果的に得られたはずのリターンをみすみす逃してしまったという苦い経験が私にもある。
いつ売るべきなのか
売るべきかどうかは、その人が想定する投資期間によって変わってくる。
また、市場価格の上下のタイミングを正確につかむ事はまず不可能である。しかも売買の都度コストがかかるのだから、着実に元本が削り取られる。
経営者が変わったり、会社を取り巻く環境が変わったり、こちらが想定していたシナリオ、ストーリーと異なる展開がこの先見えてしまったような場合には、売ることを考えなければならない。
ただそのタイミングが問題である。バブルが大いに膨らんで誰がどう見ても高い、高すぎるというようなタイミングで売り抜けられるのが、理想ではある。
しかし市場の動きはカオスである。予測がつかない。いったいどの時点が株価のピークなのかなんてことは、後になってみないとわからない。
投資先候補の会社リストをつくっているのだが、これと同じく、売却候補の会社リストも用意しておくべきなのだ。自身の長期投資の基準から外れそうな会社のリストである。自身の基準に適合しなくなったことが明らかな会社は即売却である。売り時を逸することによって被ってしまう損失は大きい。金銭的にも、時間的にも。
バブル発生時に現れる好機
バブルが膨らんだときは、売り時を待ち構える投資家にとっての好機といえる。バブルの膨張はチャンスでもあるのだ。逆に、絶望に市場全体が沈んでいるときは、投資を行う好機である。
売りも買いも、問題はそれを行うタイミングであるが、ベストなタイミングを正確に予測することは無理である。株価のピークや株価の底を事前に予測することは不可能という前提で考えたほうが良い。わからないということを知っておくことが大事である。
最善なのは、市場という他者の評価ではなく、自身の評価基準に従うことだ。
ただ、周囲を観察することでヒントが得られる場合もある。猫も杓子も、今は株である、投資しないやつはおかしいなどという発言を耳にするくらいのときがわかりやすい。バブルのピークが近い。
逆に、もう株式は死んだ、株式投資なんてばかのやることだなどと、誰も彼もが言うようになっている時、それは投資を始める好機である可能性が高い。
賢明な助言と皮肉な結果
こういう時期、メディアは当てにならない。当てになるのは個人のみである。熱狂の中、冷静にバブルの可能性を指摘し、根拠なき熱狂と警告した人がいた。
当時のFRB議長グリーンスパン氏が警告を発したのは1996年12月5日、今からちょうど20年前のことである。
熱狂の中、あるいは絶望の中、それをあおることは誰にでもできる。狂騒の中、大多数と逆の意見を公に発することのできる人物はまれである。こういう人のことを賢人と呼ぶのだろう。
ところで、グリーンスパン氏の警告を素直に受け止めて、その時点で持ち株を売却した人はどうなったか。結論からいえば損してしまったのだ。
根拠なき熱狂という警告が発せられた1996年12月5日、ダウ平均は6,437ドルをつけていた。
その後、バブルは膨張をつづけ、1999年12月にダウ平均は11,659ドルをつけた。そしてその直後、バブルは弾けた。
株価は暴落し、2002年10月にダウ平均は7,286ドルまで下げた。確かに大暴落ではあった。しかし、「根拠なき熱狂」発言時点の株価を下回ることはなかった。
次は、サブプライムローン絡みの米住宅バブルであるが、ピークは2007年10月の14,280ドルである。その後の暴落でダウ平均は6,440ドルまで下げた(2009年3月)。偶然、警告が発せられた時の株価にほぼ等しい。しかしいってみれば、そこまでの下落で済んだのだ。そして2016年11月、ダウ平均は19,000ドルを超えた。
賢明なるグリーンスパン氏のバブル警告を素直に受け止めて売却した人は、持ち続けていれば得られたはずの値上がり益を失う結果となった。
バブル崩壊の衝撃を吸収する複利の力
グリーンスパン氏が警告を発したときは、バブルだったのかもしれない。しかし、米国上場企業の平均的なROEは9%を上回る水準にあり、NYダウを構成する企業のROE平均は18%を超える(三井住友トラスト・アセットマネジメント調べ 2015.3)。
仮に年率9%で複利運用できるとしたら、8年間で元本は倍になる。20年後には5.6倍になるのだ。バブルはたしかに破裂したが、企業群が生み出した利益は、バブル崩壊の衝撃を吸収して余りあるものだった。
過去と未来は別物だが、人の本質は変わらない。これからもバブルは繰り返し生まれ、崩壊するのだろう。バブルの膨張と破裂は定例行事のようなものである。
市場は常にバブルとともにある。バブルとその周辺事情を理解しておくことで、バブルと上手に付き合っていくことができるはずだ。
お金になる情報の見つけ方
知れ渡った情報に価値はない
お金になる情報が人から与えられることはない。自分の手で掴み取るほかない。
人々に広く知られた情報に、もはや価値はない。人に知られていない情報にのみ価値がある。情報は、人に知られているかいないかによって、価値が大きく変わる。
人々に知られているかどうかは、人々が知覚しているかどうかということだ。知覚力は、情報から正しく意味を見出す能力ともいえる。当然、個人差がある。
情報で稼ぐ人々が重視する情報とは
わかりやすい情報とわかりにくい情報、いいかえれば知覚しやすい情報とそうでない情報がある。
読みやすい言葉、わかりやすい文章は、メディアに携わる人々にとって重要だが、情報で稼ごうとする人々にとっては、わかりにくい方が都合がよい。多くの人に提供されていても、それを正しく知覚できる人がいなければ、あるいは極端に少なければ、その情報は彼らにとって存在しないのと同じことだからだ。
価値ある情報のあるところ
価値ある情報、宝のような情報、お金につながる情報とは、地下深くに隠されているわけではない。実は公開された情報の中に、価値ある情報は埋もれている。
なぜ公開情報の中に価値ある情報があるかといえば、その情報を知覚できる人が極端に少ないためだ。
決算情報が難解なのは、それを読み解ける人々にとって都合のよい状況といえる。
お金になる情報を発掘するために
大部分の人がその存在すら認識できないけれど実は価値高い情報というものがある。問題は、それを知覚できるかどうか、発掘できるかどうかである。
そういった情報を発掘するために必要なのはシャベルでなく、正しい知識だ。
知識の有無が、人の知覚可能な範囲を決める。適切で正しい知識が、多くの人に見えていない情報を知覚させてくれる。
求めるべきは、掘り出しものの情報ではなく、価値ある情報を自らの手で発掘するための知識である。
ではどうすればよいのか?
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