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「会計上の費用」は無視して良いものなのか?

これはあくまでも会計上の費用であってキャッシュの流出を伴わないものである。こんな表現が最近目につく。

この言葉の裏には、資金の流出を伴わないものだから、単に会計上の費用に過ぎないから株主その他の利害関係者はこのような費用を気にするべきでないというようなニュアンスがある。そんな決算開示の姿勢が増えている。

特に企業買収などに絡んで費用が増加した局面でいわれることが多い。

企業買収に絡んでのPPA(パーチェス プライス アロケーション/取得原価配分)によって認識された無形資産があって、その償却費が生じたりする。償却費はたしかにキャッシュの流出が伴わない類の費用である。だから心配することはないというような論調がメディアでも用いられていたりする。おかしな話である。

会計上の費用とは価値の流出が起きているぞという事実を表現するためのものである。PPAによって認識された無形資産とは買収対価の支払いによって認識されたものであって、その償却費についていうならば、キャッシュが伴わないのではなく、キャッシュその他の価値の流出が既に起きた結果として計上された費用である。すでに株主の負担のもとに価値は流出しているのだ。

それらの費用はあくまでも会計上の費用であってキャッシュが伴わないから株主はこの費用を気にすべきでないというような決算説明を行う経営者が最近目につくようになってきて、何という堕落した経営者かとひとり憤りを感じている。そしてそういう経営者の率いる会社には絶対に近づかないようにしている。